天気予報で「五月晴れ」はいつ使われる言葉でしょうか?という話がありました。少し調べてみました。
「五月」[サツキ]は旧暦・陰暦の呼称です。「旧暦5月(今の6月)が梅雨のころにあたるところから、もともと「五月晴れ」は「梅雨の晴れ間」「梅雨の合間の晴天」を指しました。
ところが、時がたつにつれ誤って「新暦の5月の晴れ」の意味でも使われるようになり、この誤用が定着しました。「五月晴れ」について、主な国語辞書も
(広辞苑):「(1)さみだれの晴れ間。梅雨の晴れ間。(2)5月の空の晴れわたること」
(日本国語大辞典・小学館):「(1)五月雨(さみだれ)の晴れ間。つゆばれ。(2)5月のさわやかに晴れわたった空。さつきぞら。」などと、新旧両方の意味を記述しています。
ただ、俳句の季語としては、もとの意味で使われることが多く、「陽暦五月の快晴を五月晴と言うのは、誤用」と明記してある歳時記もあります。また、同じ「五月」のつくことばには、「梅雨」を指す「五月雨(さみだれ)」と、「梅雨のころの夜の暗さ」などを表す「五月闇(さつきやみ)」がありますが、この二つのことばは今でも本来の意味で使われています。
ところで、5月の初夏・新緑の候によく使われる用語に「さわやか」があります。「さわやか」は秋の季語で、初夏に「さわやかな天気」などと表現すると抵抗感を持つ人がいます。
「さわやか」は、一般には季節に関係なく使われていますが、このところ初夏に限らず全体に多用・乱用気味です。「さわやか」だけでなく「すがすがしい」「気持ちのよい」「心地よい」「胸がすくような」など、もっと多様で豊かな表現を心がけたいものです。 (2022.6.13 東 記)